フランスの国際小包配達事情 その2

前回からの続きです。

前回の場合は、途中冷や冷やさせられたけど荷物は最終的に無事届いたのに対し、今回はもっと深刻な事態、すなわち荷物が紛失してしまった場合についてです。

あれは8-9年くらい前のことでしょうか。日本から家族が小包をEMS(国際スピード郵便)で送ってくれました。そろそろ着きそうなころに仏郵便局サイトの荷物追跡ページを見たところ、「配達済み。建物の管理人に手渡ししました」というメッセージが表示されているのです。ちょうど夏のバカンスシーズンで、管理人さんも休暇をとって留守(ゴミ出しや掃除だけはピンチヒッターの人が来てやってくれる)だったので、おかしいなと思ったのですが、管理人さんに電話で確認したところ、受け取った覚えはないし、ピンチヒッターの人も受領していない、とのこと。そこで仏郵便局にメールを書き、「受け取ったのは誰か。受領時のサインを見せてほしい」と頼んだところ、送られてきた受領証の写真にはなんと(個人名でなく)「管理人」とサインが…。呆気にとられました。

その後、私の住む建物内に張り紙をして、何か手がかりになりそうなことを知っている人を探したのですが、唯一あった反応が、「私も仕事用にアジアから送ってもらう荷物がいつも紛失されて届かない」という声。どうやら国際小包(EMS)の配達を担当している仏郵便局の子会社クロノポストに問題があるらしい。同僚にも、「クロノポストの配達人が、建物入口の暗証番号がわからず入れないからという理由で門の外に不在票を無造作に置いて行き、あやうく風で飛ばされてなくなるところだった」というような人がいました。

仏郵便局に捜索(配達人の特定など)を依頼してもきちんと対応してもらえず、結局、警察に行って盗難届を出した後、日本の差出人に日本郵便宛てに補償請求をしてもらいました。

この一件で何よりも憤りを覚えたのは、仏郵便局の責任感のなさ。自分の非すら認めようとしない。その一方で、日本の差出局の郵便局長さんがわざわざ実家までお詫びを言いに来てくれたそうです(日本の郵便局は何も悪いことをしていないのに)。

また仏警察の反応にもがっかりしました。きちんと調書は作ってくれますが、この手のことはよくあるらしく、「まあ盗難届を出してもたぶん出てこないよね…」。

そしてかなりびっくりしたのが、この話をしたまわりのフランス人の多くが、「たぶん荷物の配達人が盗ったんだろうね。彼らは安い給料で働かされてるからまあ仕方ない」と言ったこと。配達人が荷物を盗むということが私にはまずショッキングでしたが、仮にそれが事実だとして、悪いことをする配達人に同情する人が多いってどういうこと? 自分がもし私の立場になったら同じことを言えるのでしょうかね?

とにかく、この件があって以来、私は仏郵便局の国際小包配達は信用していません。

私の場合のような日本からの小包の盗難・紛失被害が多数報告されたため、在仏日本人会が被害者の声を集め(私ももちろん協力)、仏郵便局に改善を要求したのは、それから少ししてからのことでした。それ以後、EMSが日本人専用デスクのようなものを設けたらしいです(最近はもうないかも)。

また、上記の一件の数年後に偶然、テレビのルポルタージュ番組で「仏郵便局の小包配達現場に潜入」という回を見たのですが、仏郵便局の小包配達子会社クロノポストのそのまた下請業者には毎日の配達個数の厳しいノルマが課せられており、それを達成できないと逆にペナルティー(その日に配達できなかった荷物1個につき、配達1個当たりの報酬よりはるかに高い金額)を仏郵便局に払わなければならないという実態が映し出されていました。このような状況下では、その日に配達できなかった荷物は配達人が捨ててしまうか自分の家に持って帰ってくすねてしまうということが実際に行われているのです。この実態を把握したTV局の取材担当者が仏郵便局の責任者に意見を聞きに行くと、「契約条件が不満なら、うちと取引しなければいい。うちと取引したがっている会社はほかにいくらでもあるんだから」と平然とのたまう始末。これでは、いつまでたっても仏郵便局の小包配達業務の改善は望めませんね。

というわけで、不満をぶちまける回となってしまいましたが、フランス宛てに日本から小包を送るときは、相応のリスクを想定しましょうね。